紀貫之

明日知らぬ わが身と思へど 暮れぬ間の 今日は人こそ
かなしかりけれ    
                    紀貫之

(あすしらぬ わがみとおもえど くれぬまの きょうは
 ひとこそ かなしけれ)

意味・・こういう私だって明日の運命が分らないことは
    承知しているのだが、こうしてまだ生きている
    今日という間は死んだ彼の事が悲しくて、他の
    事を考える余裕が無いのだ。

    詞書より。
    従兄弟の紀友則が死んだ時に詠んだ歌です。

 注・・明日知らぬ=明日死ぬかどうか分らない。
    暮れぬ間=「日が暮れない」の裏に自分が
     まだ死なないの意がある。
    人こそかなし=人は友則をさす。「こそ」に
     已然形がつくと、語が省略されているので、
    「彼以外の事を悲しんでいられない」のよう
     な文を補う。

作者・・紀貫之=きのつらゆき。868~945。従五位上・
    土佐守。古今和歌集の撰者。古今集の「仮名序」
    を書く。

出典・・古今和歌集・838。

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