西行

ふりさけし 人の心ぞ 知られぬる 今宵三笠の
月をながめて
                 西行

(ふりさけし ひとのこころぞ しられぬる こよい
 みかさの つきをながめて)

詞書・・春日に参りたるけるに、常よりも月あかくて、
    あはれなりければ。

意味・・春日神社にお参りし、三笠の山に出た月を眺
    めた今宵、初めて分った事だよ。「天の原ふ
    りさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月か
    も」と詠んだ古人の心が。

    古人の心を通じて、望郷の気持ちを詠んでい
    ます。

 注・・春日=大和国(奈良県)の春日神社。
    ふりさけし=遠くふり仰いだ。「ふりさけ見
     し」の意。遠くふり仰いで見た。
    三笠=春日神社の後方にある山。

作者・・西行・・=さいぎょう。1118~1190。

出典・・山家集・407。

参考歌です。

天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に
出でし月かも
     阿倍仲麻呂 (古今集・406、百人一首・7)

意味・・大空をふり仰いではるか遠くを眺めると、今
    見ている月は、かって奈良の春日にある三笠
    山に出ていた月と同じ月なのだなあ。

作者・・阿倍仲麻呂=あべのなかまろ。698~770。遣
    唐留学生として渡唐。帰国出来ないまま唐土で
    没。

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