安井仲平

今は音を 忍びが岡の 時鳥 いつか雲井の 
よそに名告らむ
              安井仲平

(いまはねを しのびがおかの ほとどぎす いつか
 くもいの よそになのらん)

意味・・私は、忍びが岡に生まれたほとどきすだか、
    まだ声をひそめるような鳴き方しか出来ず、
    皆に笑われ耐え忍んでいるが、いつの時にか
    必ず、美しい声で大空に届くように鳴いてみ
    せよう。
    
    昌平学校に学んでいる仲平は顔に痘痕(あば
    た)があり器量が悪かったので同窓の者に馬鹿
    にされていた。それでこの歌を詠んで壁に貼
    って座右の銘としていた。

 注・・忍びが岡=「忍び」は固有名詞の忍ヶ岡と「
     耐え忍ぶ」の意と、また「声をひそめるよ
     うな鳴き声」の意の忍ぶを掛ける。
    雲井=雲のある所、空。
    よそに=余所に、かけ離れた所。
    昌平学校=ペリーの来航以来、徳川幕府の洋
     学の教育機関として設立された。その後、
     開成学校となり東京大学に発展した。

作者・・安井仲平=やすいちゅうべい。1799~1876。
    儒学者。天然痘にかかり顔面疱瘡痕で片目を
    失った。